医療法人 羅寿久会 浅木病院|福岡県遠賀郡遠賀町|神経内科|リハビリテーション科|内科|消化器科|循環器科

 

論文・学会・研修報告

 

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デンマーク高齢者ケア 現地視察研修
2017-07-10
デンマーク高齢者ケア 現地視察研修
                     作業療法士 新藤和廣
ケアマネジャー  山下由美子
 
【はじめに】
 今回福祉フォーラム・ジャパンのデンマーク高齢者ケア現地視察研修(2017年3月12日~18日)に参加しました。この研修は短期集中滞在型で高齢者施策の概要やケアスタッフ養成学校訪問、ヘルパー同行訪問や補助器具センターの訪問などでした。その内容を簡単ではございますが報告します。
 
「世界一幸せな国デンマーク」
医療・介護・年金・教育が無料で、何よりも、人生の最期までを過ごす場所が保障されています。かつてのデンマークは高齢化の問題を抱え、1979年の段階で福祉改革に取り組み、「福祉の質を落とすことなく、お金をかけずに、よりよい福祉を実施する方法はないか。」いう題提起から「高齢者三原則」というデンマーク福祉の考え方が打ち出されました。日本とデンマークでは、文化も考え方も違うかも知れませんが、歳を重ねて介護が必要になることや認知症になることは日本と同じで、この考え方は日本の暮らしにも大切なことだと思いました。
 デンマークでは18歳になったら独立し、夫婦または一人暮らしになるのは当たり前のことで、市民の健康管理や介護サービスの派遣は、市が責任をもっておこなっています。また、訪問サービス中心の支援は、無駄のない動きで、必要な事のみをおこなっています。介護が必要な人は「自分でできることはおこなう努力」、介護する人も「本人に任せる、待つ努力」が必要だと思いました。
 
【在宅ケア制度】
デンマークでは24時間365日在宅でサービスを受ける事が出来ます。また、利用制限はなく必要な時に必要な分だけ利用できるようなシステムになっています。ヘルパーは1回の訪問で5-15分と短いですが必要に応じて一日に何回も訪問します。実際に5件ヘルパーに同行しましたが全員一人暮らしの方でした。しかし、家の中はきれいに整頓されていてヘルパーの方は利用者の方と楽しそうに会話しながら手際よく働かれていたのが印象的でした。また、リフトも当たり前のように使われていてその操作もスムーズで驚きました。
 
【補助器具センター】
補助具のレンタルは全て無料です。センターでは補助器具は利用者の為だけでなくヘルパーの労働環境にも着目してレンタルできるものを増やしているとの事でした。日本でも福祉用具のレンタルはありますがデンマークではさらにヘルパーの健康面にも着目して新しいものを導入していることにとても驚きました。
 
【最後に】
デンマークで訪問介護に同行した時、一人寂しそうにも感じる部屋に、古い写真や絵が並べられていて、その方の歴史がありました。そして、その暮らしは今も続いています。日本の介護を考える時、最期までの人生をじっと待つのか、何かをして迎えるのかには大きな違いがあります。状況が変わると、施設へ入ることを考えることもありますが、介護サービスを利用すれば、家に居て、自分らしい暮らしが続けられることもあります。また、普段から「何かあったらどうしよう」では無くて、「何かあるからこそ、その時はどうしたいか。」自分の意思を伝えておくことも大切だと思いました。デンマークでの出会いに感謝し、今後に活かしていきたいと思います。
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