浅木病院 理学療法士 篠原敦
【はじめに】
今回、全国自治体病院協議会の平成26年度海外医療視察A研修団研修(2014年11月23日~29日)に参加しました。ドイツのミュンヘンで、地域の急性期病院と老人ホームを、スウェーデンのヘルシンボリで、地域の急性期病院を視察研修しました。その内容を簡単ではありますがご報告します。
【ドイツ】
中福祉中負担国家で、医療保険制度は、事実上の国民皆保険で公的医療保険もしくは民間医療保険のいずれかに加入する社会保険方式となっています。医療費の自己負担額は、外来診察料が四半期ごとに10ユ-ロ(約1,350円)、入院費が年28日を限度に10ユーロ/日の支払いが必要です。薬代については1割定率負担となっています。
病気は、まずホームドクターを受診し、必要があれば、大学病院や専門病院を紹介してもらうシステムとなっています。
在宅療養については、日本より5年早く介護保険が導入され、要介護Ⅰ~Ⅲに分類され、現物支給と現金支給が行われます。
老人ホームは、入所というよりアパートに引っ越すような感覚で入り、すべての意思決定権は本人にあり、本人の意思が尊重されていました。認知症などになっても、その意思決定が尊重されるように、意思決定を表示するため書面もあるそうです。その人らしい最期が迎えられるようにされていました。
【スウェーデン】
高福祉高負担国家で収入の50%以上が税金として徴収され、社会保障に使用されています。医療は1,100スウェーデンクローネ/年(約15,000円)を、薬代は2,200スウェーデンクローネ/年(約31,500円)を自己負担の上限にその他は全て税金で賄われます。
病気は、まず各地域の診療所で受診し、ドイツと同様に必要に応じて大学病院や専門病院を紹介してもらうシステムとなっています。
また、インターネットを利用し、患者様の検査内容などカルテの情報を共有できるようになっています。薬剤についても同様で、どこの病院で何の薬が処方されたがわかるため、日本のように各病院で重複した薬が出されることがなく、無駄な医療費の削減に繋がっています。
【最後に】
両国ともに見学行った急性期病院では、平均在院日数は5日程度で日本に比べると半分以下の入院日数となっていました。虫垂炎などの手術も日帰りで行われ、出産においても一日で退院される方もいるそうです。また、高齢化に伴う医療費の高騰、医師、看護師などの医療スタッフ不足は、日本と同様の課題の一つになっているようでした。
また、これから我が国が目指している地域包括ケアシステムの一端を垣間みることができました。