医療法人 羅寿久会 浅木病院|福岡県遠賀郡遠賀町|神経内科|リハビリテーション科|内科|消化器科|循環器科

 
   
脳卒中急性期のリハビリテーション|慢性期脳卒中のリハビリテーション
 

脳卒中急性期のリハビリテーション

脳卒中急性期のリハビリテーション
 
発病から歩行まで
   
 早期リハビリテーションの方法を明快に述べたのはHirschberg教授で(Rehabilitation, Lippincott)、初版は1964年、実に40年前です。私は1970年から追試してきましたし、日本に翻訳して紹介しました(残念ですが絶版です)。しかしわが国にはまだ普及しておらず、リハビリテーション開始が遅れ、重篤な後遺症を残した方が少なくありません。今回、ホームページで私たちの考えを発表しましたのは、そのためです。
 
 上の図は、Hrischberg教授の方法を分かりやすくしたものです。最も重要なのは、起立訓練(立ったり坐ったりを繰り返す)を早期から始めることで、発病後2~5日から行っています。これが「早期リハビリテーション」の要です。これはまず、心臓病、血圧変動などのリスク管理を行える医師が行うべきです。私たちは、意識障害が深くなく、患者さんの協力が得られるようであれば、ほぼ全例で行っています。早期リハビリは、医師の積極的参加なしにはできません。
 
 次に階段訓練、杖歩行と進めると、麻痺が重度であっても4週以内に歩行が自立するであろう、というものです。私たちの経験では、確かに麻痺が重度でも3~6週で歩けるようになる方がほとんどなのです。アメリカにおける脳卒中の治療期間は、急性期病院が約7日、リハビリテーション病院が4~5週で、後は自宅または施設へ退院しています。アメリカの入院日数が短いのは、単に医療費が高いためだけでなく、早期リハビリテーションにより回復が速いためなのです。アメリカの医学には批判すべき事が少なくありませんが、早期リハビリテーションは学ぶべきだと思っています。
 
  脳卒中は再発しやすい病気です。140例の急性期脳卒中のうち、過去に脳卒中を起こしていたのは60例(43%)ありました。特に心臓病から起こる心原性脳塞栓症では73%です。しかしリハビリテーションを行う30日以内での再発は140例中4例(2.8%)で、リハビリテーションにより再発が増えるとは思えません。再発した4例は、臥床時2、トイレの後1、炊事中1で、リハビリテーションを行っている最中に起こったのはありませんでした。
 
  早期リハビリテーションが必要なのは、とくに重症者と高齢者であることも指摘しておきたいと思います。といいますのは、重症者や高齢者は、治療者が働きかけないとじっと動かない状態が続くからです。こういう状態ですと、廃用症候群が必発で、回復しないからです。軽い方は自分でごそごそ動き、自分で回復していきますので、早期にリハビリテーションを開始しなくても大丈夫なことが少なくありません。
 

慢性期脳卒中のリハビリテーション

慢性期脳卒中のリハビリテーション
 
慢性期脳卒中のリハビリテーション
 脳卒中では早期リハビリテーションが理想であるが、発病から数ヶ月、または数年経った方もおられるでしょう。そういう方の治療は、健側強化、関節拘縮の治療、が重要です。リハビリテーション専門病院で治療を受けた患者の中にも、健側の強化が不十分な方が少なくないのです。そういう方の健側下肢を強化してみると、歩行の改善できることが少なくないのです。

私たちは、発病後10年間歩けなかった方で、健側強化で歩けるようになった方を経験しています。

慢性例でも、希望を失わず治療を試みてほしいと思います。
   
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