重度片麻痺の早期リハビリテーションでは, 長下肢装具による歩行訓練より起立-着席運動を推奨する
In rehabilitation of severe hemiplegia, we recommend stand up exercise than walking training with knee ankle foot orthoses
○髙畑起世子(PT),篠原敦(PT),小田原創(PT),加来剛(PT),三好安(MD),大里隆(MD),三好正堂(MD)
【はじめに】
重度片麻痺の歩行改善には,長下肢装具(KAFO)による歩行訓練がガイドラインで勧められている.当院では,歩行の確立には健側肢と患側肢の筋力増強を優先すべきと考え,早期に装具を作製せず,歩行より筋活動の高い起立-着席運動から開始している.
【対象】
過去8年間の入院者で,発症前は屋外独歩自立していた初発の重度片麻痺42例を対象とした.平均年齢61.8歳(36~87),回復期病院へ転院するまでの日数は発症後平均28.9日(10~80)で, 下肢麻痺はBr.stage 1:13,2:29,脳梗塞12,脳出血29,くも膜下出血1であった.
【結果】
当院の平均在院日数は86.2日(47~143).装具作製までの日数は平均53.7日(19~89)で,作製装具は,短下肢装具(AFO)32例,KAFO 2例,未作製8例であった.KAFO 2例は時間を要したがAFOに移行できた.未作製8例のうち4例が装具なしで歩行自立し,他の4例は装具の適応がない介助歩行であった.退院時の歩行能力は自立22,監視14,介助6で,歩行自立までの平均日数は51.9日(13~101).膝伸筋力健常者比は入院時健側49.9%,患側2.8%,退院時健側82.8%,患側33.1%.Barthel Indexは入院時平均34.4点(0~65),退院時平均85.4点(30~100).
【考察】
重度片麻痺の早期リハにはKAFOを用いた歩行訓練が行われるが,介助負担は大きく,また装具代も高価である.一方,起立-着席運動は装具なしで行うことができ,下肢筋力強化の効果が大きく,最終的に実用的な装具を処方できる.下肢stageが1,2の重度麻痺者で自立歩行になったのは22/42例(52.3%)と良好であり,早期リハの方法として起立-着席運動を推奨する.
(58回 日本リハビリテーション医学会学術集JARM2021 eポスター発表)