医療法人羅寿久会 浅木病院
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ご挨拶

 平成22年9月1日より医療法人 羅寿久会 浅木病院の院長に就任しました.これまでも「病気を患った方やその家族の心にどれだけ寄り添えるか」を医療の本質と考え,仕事に取り組んで参りました.私は,神経内科とリハビリテーション科(以下,リハ科)の専門医を取得しています.神経内科は日本で初めて九州大学に設立された経緯をもつ比較的新しい科であり,脳や脊髄,手足の神経,筋肉などの病気を診ます.神経内科専門医は数が少ないのか,地域の基幹病院でさえも不在の病院がたくさんあります.また,「リハビリテーション」という言葉はいまや当たり前のように用いられていますが,リハ科の専門医となるとさらに少ない印象です.「整形外科とリハ科」の両方の専門医をお持ちの先生はおられますが,「神経内科とリハ科」の組み合わせは全国的にも珍しいのではないでしょうか.しかし,要介護状態になる原因として最多といわれる「脳卒中」に代表されるように,リハビリを必要とする方の総数は神経内科疾患の方が圧倒的に多いと思われます.
 「神経内科」は診断学に優れた科です.神経学的理学所見をとったり高次脳機能障害を評価したりすると,一人の診察に1時間以上かかることもしばしばです.神経内科学的な診療は,まさに「頭のてっぺんから足の先まで診る」という言葉がぴったりとあてはまるものです。高齢者は身体障害を生じる複数の疾患を同時に有していることがよくあります.たとえば,脳卒中を起こした後に紹介された方を診察してみると,脳卒中の後遺症以外に頸椎の変形による頚髄症,パーキンソン症状,末梢神経障害などを認め,これらを同時に治療したこともありました.さらに変形性膝関節症や肩関節周囲炎などの整形外科疾患の合併もよく認めます.体を不自由にしているこれらの要素を診察により細かく分析できるのが,「神経内科の醍醐味」ではないでしょうか.一方,「リハ科」の特徴はチーム診療といわれるように,医師のみではなく様々な職種が関わり,体の不自由な方に役立つことを共に探し求める姿勢がすばらしいと思います.ただし,科学的根拠に基づいた医療(エビデンスベーストメディスン)といわれる時代にあって,リハビリテーションでは有効な治療体系が確立されていないことが残念です.そのことが無秩序をもたらし,ナンセンスともいえる治療法がもてはやされているように思えます.なお,当院では起立訓練を中心とした筋力強化や関節可動域訓練,日常生活動作訓練を中心とした伝統的なリハビリを毎日4〜5時間かけて行うことを実践しています.一臨床家としては,これに勝る治療法は少なくとも現時点では無いと断言します.
 今後の当院の方向性としては,以下の二つのことに主眼を置きたいと思います.まず一つ目には,前院長が実践してきた脳卒中を含めたあらゆる疾患の急性期(早期)からリハビリテーションを継続していくことです.「早期リハビリテーション」という言葉自体はよく見かけますが,その内容に関しては十分な検討が必要だと思われます.それは「ベッドをギャッジアップして少しずつ上げていく」とか「坐位を保持させる」など日本国内だけでしか通用しない無意味なリハビリでもなく,ベッドサイドに行き関節の曲げ伸ばしに終始するといった消極的なリハビリでもありません.いかなる疾患であってもモニターしながら慎重かつ大胆に筋の活動量が大きな運動を早期から行うことが良好な回復を得るためには不可欠と考えます。二つ目には,すべての医療機関が敬遠する神経難病に積極的に関わっていくことです.敬遠される理由は「介護量が多くスタッフの負担が大きいため」のようですが,その介護を在宅では家族がしていることを忘れてはいけません.神経内科の教科書には「有効な治療法はない」と記載されている疾患がたくさんあります.「診断はついたが,治療法がない」ではあまりに無力ではありませんか.しかし,リハ医の立場からは少し考え方が違います.たとえ難病疾患に対しては無力であっても,廃用の要素による筋力低下や関節可動域制限を最小限にすること,肺炎や褥創などを予防するための介護者への指導,社会的な資源の模索,残存機能によるADLの拡大など,「やれること」は決して少なくはありません.
 日本社会全体のこと(たとえば老老介護,少子化や核家族化などの家族関係や家庭の経済的な面,住宅環境など)が,「脳神経疾患のリハビリテーション医療」と密接に関係してくることも実感しています.微力ながら地域医療,日本社会に貢献できるような病院にしていきたいと考えております.

院長 三好 安 

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院長:三好 安

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